書籍のご紹介・津田式ケアプラン Step.1

津田式ケアプラン Step.1

津田式ケアプラン Step.1

基礎編

教育出版センターより発行

初版発行:平成9年11月30日発行

【主な内容】

平成9年、自立度アセスメント、必要なケアのアセスメントを考案、オリジナルなケアプラン作成について解説、スタッフの教育資料として作成しました。

「津田式ケアプラン」発刊によせて

昨年4月から、1年半にわたる津田さんのケアプラン策定への取り組みを、折にふれ見てきた私としては、“よくぞここまで到達した、すごい!”という感嘆の言葉をまず申し述べたいと思います。

現場の体験がないので、良く分からないところがあるものの、津田さんの仕事に対する熱意、確かな看護観、などは私の心にひしひしと伝わってまいりました。

このマニュアルは、これからケアプランに取り組もうとしておられる方々にとっては、すぐれた指南書となると思いますし、現在実施しておられる方々には、改善のヒントが得られるのではないでしょうか。

この実践を踏まえての研究成果である「津田式ケアプラン」は、これからのケア施設の業務改善やケアサービスの向上に寄与するものと信じておりますが、私は2つの優れた事項についてしてきしてみたいと思います。

まず、“気づきとアイデア”のすばらしさです。施設でケアプラン策定に取りかかったとき、各職種がアセスメント表のチェックをし、それを持ち寄り検討した際、ケアワーカーの発言がないままにすべてのチェックが終わった。“これは、おかしい・・・”と感じた“気づき”を大切にしながら、職員教育の実施〜職員の共通認識の醸成〜ケアプラン策定へとつくり上げて行ったこと。

2点目は、実用性が考慮されていることです。(1)日常業務のなかで無理なく実施できる方法や手順が考慮されていること。(2)誰もが理解でき記入しやすい様式類。(3)すべてに経済性が考慮されていること。

このように優れた点はいろいろありますが、要は“ケアプラン策定のためのケアプラン”ではなく、“より良いケアのためのケアプラン”であること、職員全体で取り組めるケアプランであることの二点につきるのではないでしょうか。

どうぞ皆様!、このマニュアルを有効に、ご活用下さい。

平成9年11月 社団法人 徳島看護協会 会長 宮城泰子

はじめに

わが国における人口の高齢化は急速に進行し、やがて21世紀初頭には世界に類を見ない超高齢社会が到来すると予測されている。

このような超高齢社会における最大の国民的課題は、増加が予測される要介護老人の介護問題といわれており、その対応策として国では平成元年にゴールドプランを策定し、本格的に高齢者保健福祉施策の推進が図られることとなった。

老人保健施設や特別養護老人ホームの整備も当該計画の一環として一層の促進が図られることとされ量的にも全国的に整備されつつある。

一方、様々な障害を持つ高齢者が良質なケアを受けその機能回復と生活の質の向上を図るため、個々の高齢者に最適のサービスを提供することを目指し、関係施設ではケアプランの策定が積極的に実施されている。

より良いケア提供のため個々の高齢者の問題点を把握しケア計画のを立案することはケアプラン実施に必須であるが、実施に当たりまずスタッフ側の姿勢を正すことが大切で、スタッフが笑顔と誠意で業務を遂行すれば高齢者は安心して身を委ねると考える。

単に入所者のケア計画だけをケアプランというのではかく、スタッフの働きやすい環境整備や報告、連絡、相談のルールづくりや各職種間の良い人間関係づくり、ここのスタッフの心の安定を図る日常業務の見直しが大切な要素であり、これらが満たされることにより良いケアが提供できる。

医療、福祉の真の統合を達成するには、職員教育を含むスタッフ全体の業務体制づくりが必須であり、それが良きケアの提供に繋がっていく。そして、それこそがケアプラン策定の基礎であろうと考えた。

当施設においては、平成8年4月よりケアプランに取り組み、効率よく科学的なケアプラン策定手法の開発と研究を行ってきた。研究18ヶ月を経てようやく誰でもが容易にケアプラン策定ができ、アセスメント能力の向上が図れる客観的な手法を考案できたと考えこれをマニュアルとした。

しかし、この案が最善のものとは考えていない。現場での実践を通じ更なる改善を図っていきたい。皆様方のご指導ご指摘をいただければ幸いである。

著者  津田祐子

一覧に戻る>>